ニードルパンチの歴史
現在の「毛糸で作るニードルパンチ」の人気が高まってきたのは
2017年6月頃にカナダの作家さんがインスタに作品をアップしたことが
きっかけではないかと考えられます。
もちろんそれ以前からパンチニードルは存在していました。
2017年以前からニードルを販売していたメーカーは
MCG Textile(米)、Oxford(米)、SKC(中国)、Peak Dale(英)、Lavor(葡)
中東の Tailoring Knitting school などです。
世界で注目され始めた2017年、当時人気だった緑のニードルを作っていたMCGTextiles社は
すでに倒産していましたので、皆さんデッドストックを購入していました。
日本で初めてニードルパンチ専門店としてオープンしたのが
わたくしが運営する Loop&Needle (2017年11月よりニードル販売)
それ以降、2018年に入ってから現在まで、世界中のメーカーがニードル企画に参入。
南米の Mercado de Haciendo , My Punch Needle , Stay Craft 、
ヨーロッパの mail name is: 、 DMC 、 RICO DESIGN 、
アジアの Syujichi Banong 、AROYEL 、 クロバー などです。
この流れとは別に、非常に興味深い、もうひとつの側面があります。
それは、昭和30年代に流行っていた「文化刺繍」です。
文化刺繍針が出来上がった背景には、
「1928年(昭和3)、チェコスロバキアで行われた「第6回国際美術教育会議」に
日本代表として出席した岡登貞治(おかのぼりさだはる)が、そのときに催されていた
「美術工芸の用具材料展」から材料などを持ち帰ったことに端を発する。」
という記述が残されています。日本大百科全書(ニッポニカ)の解説
オートクチュールの刺繍に「クロッシェドリュネビル」というものがありますが、
岡登貞治氏もきっと目にされたかと思います。
ヨーロッパの Lavor のニードルは小さなネジでニードルを止める仕組みで、
クロッシェドリュネビルのニードルの形状によく似た部分があります。
どこかでパンチニードルとつながる部分があったかもしれませんね。
そして1928年(昭和3年)から、30~35年をかけて文化刺繍針は完成しました。
それが、昭和30〜40年代の文化刺繍ブームですね!
そしてここで、興味深いことがもう一つ、
文化刺繍針はスリット式だったということです。
現在の毛糸用パンチニードルに使用されている「スリットボディー」
その販売よりも、ずっと前の話。
こぼれ話
よく質問を受ける事柄があります。
「パンチニードルですか?」「ニードルパンチですか?」と。
どちらでも大丈夫です。
私は、パンチニードルと言うと「ニードル」
ニードルパンチと言うと「パンチ」つまり動作と捉えて使い分けをしています。
タグを設定する場合は、両方用意してはいかがでしょうか。
資料分析:JPNA 相馬智寿子
*パンチニードルに関する文献はほとんどないため、ネット上で探すしかありません。
丁寧に探し、大きな前後関係はつかめましたが、まだ詳細がわからない点もあります。
しかし、手芸の歴史はとても興味深く、知りたいと思われる方も多いかと存じます。
もし情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひご教示いただき、
このページが少しでも皆さまの疑問にお答えできるものとなりますよう、願っております。